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Beauty Source キレイの魔法

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恋愛セミナー37【若菜下】

第三十五帖 <若菜 下―1  わかな>   あらすじ

柏木は女三宮の猫が欲しくてたまらなくなり、帝に「素晴らしい猫を見かけました。」と伝えます。
早速、猫をもらい受けた帝が「よい唐猫だが私の猫も劣らないようだ。」と言うと
「では私がお預かりしましょう。」といって連れ帰ってしまいました。

それからは朝晩、その猫を慈しみ懐にいれて可愛がります。
なついた猫が「ねうねう」と鳴いて甘えると、「寝よう寝ようなんて。」とますます愛しくなる柏木。
女房達も不審に思うほどの気の入れようなのでした。

髭黒の大将の元の正妻が産んだ娘・真木柱は相変わらず祖父・式部卿宮のところに留められています。
玉鬘に熱心に求婚していた兵部卿宮は亡くなった美しい妻が恋しいので、思いつきで真木柱との結婚を
式部卿宮に仄めかしたところ、あっさり認められてしまいました。
ところが、真木柱がそれほど美しくないのを知ってあまり通わなくなってしまう兵部卿宮。
もともと浮気な宮なので髭黒の大将も反対していたのですが、後の祭りです。

自分がもし結婚していたらこんな風になっていただろうと思う玉鬘。
義理の母としてなんとか仲を取り持とうと息子達をさりげなく宮のもとへ行かせるようにしています。
式部卿宮の正妻は例によって口汚くののしるので、ますます婿の足を遠ざけるばかり。
それでも真木柱はこんな夫婦もあるのだろうと慣れてしまっています。

それから何年かたち、冷泉帝が重病をきっかけに位を譲ることになりました。
太政大臣は辞職し、新しい帝の伯父である髭黒の大将は右大臣として最高の権力を手に入れ、夕霧は大納言に昇進しました。
明石の女御の生んだ皇子が東宮になり、まだ次々に皇子が生まれています。
とうとう冷泉帝の皇子は子どもがないままに終わったのを、源氏は密かに寂しく思うのでした。

女三宮が嫁いで何年になっても、紫の上の威勢は一向に衰えず、源氏とも睦まじくしています。
それでも、折あるごとに「出家して心静かに暮らしたい。」と言う紫の上。
「私こそ残されたあなたが寂しいだろうと思ってできないのです。私が出家した後なら。」と源氏は一向に許しません。

明石の女御の皇子が時代の帝になることになったので、源氏は明石の入道が住吉の神にたてた願ほどきの参詣をすることにしました。
貴族の多くが列する盛大な参拝になり、世の人はこぞって見物に出かけます。
明石の尼君も参加して、ただただ感激の涙にむせび、人々はその幸運にあやかろうと大変な騒ぎ。
あの近江の君も双六をするときは「明石の尼君!明石の尼君!」と唱えるのでした。

朱雀院は出家をしても女三宮のことが気にかかります。
帝は意をくんで二品の位(にほん 皇子・皇女に与えられる位の上から二番目。)を与えたので、
女三宮の威光がますます増えることになりました。
女三宮をないがしろにしていると朱雀院に伝わっているらしいと考える源氏。
そのため女三宮のもとへ通う夜がだんだんと多くなってゆきます。
紫の上は知らぬげにしつつ、明石の女御の産んだ女一宮を引きとって可愛がることで寂しさを紛らわせるのでした。

夕霧と雲居の雁、そして藤典侍との間にもたくさんの子どもが生まれていました。
花散里も藤典侍の産んだ子を一人育てています。
源氏も自分の子どもは少ないながら、孫が増えているのを嬉しく思っています。
髭黒の右大臣は夕霧とうちとけあって政務をこなし、六条院にも来る機会が増えました。
玉鬘もすっかり妻としての貫禄がつき、かつての色恋を忘れた様子の源氏に安心してやってきて、
紫の上とも親しくしているのでした。

恋愛セミナー35

1 柏木と女三宮      狂おしい思い
2 源氏と女三宮      相変わらず幼い妻
3 源氏と紫の上      出家の志しを
4 源氏と花散里      祖父母として
5 兵部卿宮と真木柱   これはこれとして

女三宮に魂を奪われてしまった柏木。
猫を使った、とてもエロティックなシーンですね。
古来、魔性のものととして扱われてきた猫は、妊娠の兆候として夢に現われるものでもあるのです。

兵部卿宮の再登場、ちょっとパッとしない感じです。
真木柱という玉鬘に縁の深い娘をもらったはいいけれど、血の繋がりがないだけにどうもピンとこない。
それでも亡くなった妻を思い続ける兵部卿宮は案外、一途な人なのかもしれません。
夫婦の修羅場を見てきている真木柱が、間遠な関係をあっさり受け入れているのも興味深いですね。

さて、紫の上の出家願望が強くなってきました。
冷泉帝の世が終わった無常感、明石の女御の地位が安定したこと、
そしてなにより女性として生きることに限界を感じている様子。

源氏の言い訳はなんだか苦しいですね。
冷泉帝が位を降りたことで、真の父である彼こそ出家を遂げる理由は大きい。
この世にすがってどうしても捨てられない源氏なのです。


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